Thursday, December 9, 2010

urashima taro,,,

浦島太郎(うらしまたろう) 

 むかしむかし、ある村(むら)に、心(こころ)のやさしい浦島太郎(うらしまたろう)(うらしまたろう)という若者(わかもの)がいました。
 浦島(うらしま)さんが海辺(うみべ)を通(とお)りかかると、子どもたちが大きなカメを捕(つか)まえていました。
 そばによって見てみると、子どもたちがみんなでカメをいじめています。
「おやおや、かわいそうに、逃(に)がしておやりよ」
「いやだよ。おらたちが、やっと捕(つか)まえたんだもの。どうしようと、おらたちの勝手(かって)だろ」
 見るとカメは涙(なみだ)をハラハラとこぼしながら、浦島さんを見つめています。
 浦島さんはお金を取(と)り出(だ)すと、子どもたちに差(さ)し出(だ)して言(い)いました。
「それでは、このお金をあげるから、おじさんにカメを売っておくれ」
「うん、それならいいよ」
 こうして浦島さんは、子どもたちからカメを受(う)け取(と)ると、
「大丈夫(だいじょうぶ)かい? もう、捕(つか)まるんじゃないよ」
と、カメをそっと、海の中へ逃がしてやりました。

 さて、それから二、三日たったある日の事(こと)、浦島さんが海に出かけて魚を釣(つ)っていると、
「・・・浦島さん、・・・浦島さん」
と、誰(だれ)かが呼(よ)ぶ声(こえ)がします。
「おや? 誰が呼んでいるのだろう?」
「わたしですよ」
 すると海の上に、ひょっこりとカメが頭(あたま)を出(だ)して言いました。
「このあいだは、助(たす)けていただいて、ありがとうございました」
「ああ、あの時のカメさん」
「はい、おかげで命(いのち)が助かりました。ところで浦島さんは、竜宮(りゅうぐう)へ行(い)った事(こと)がありますか?」
「竜宮? さあ? 竜宮って、どこにあるんだい?」
「海(うみ)の底(そこ)です」
「えっ? 海の底へなんか、行けるのかい?」
「はい。わたしがお連(つ)れしましょう。さあ、背中(せなか)へ乗(の)ってください」
 カメは浦島さんを背中(せなか)に乗(の)せて、海の中をずんずんともぐっていきました。
 海の中には、まっ青(あお)な光(ひかり)が差(さ)し込(こ)み、コンブがユラユラとゆれ、赤(あか)やピンクのサンゴの林(はやし)がどこまでも続(つづ)いています。
「わあ、きれいだな」
 浦島さんがウットリしていると、やがて立派(りっぱ)なご殿(てん)へ着(つ)きました。
「着(つ)きましたよ。このご殿が竜宮です。さあ、こちらへ」
 カメに案内(あんない)されるまま進(すす)んでいくと、この竜宮の主人(しゅじん)の美(うつく)しい乙姫(おとひめ)さまが、色(いろ)とりどりの魚たちと一緒(しょ)に浦島さんを出迎(でむか)えてくれました。
「ようこそ、浦島さん。わたしは、この竜宮の主人の乙姫です。このあいだはカメを助けてくださって、ありがとうございます。お礼(れい)に、竜宮をご案内(あんない)します。どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」
 浦島さんは、竜宮の広間(ひろま)ヘ案内されました。
 浦島さんが用意(ようい)された席(せき)に座(すわ)ると、魚たちが次(つぎ)から次(つぎ)へと、素晴(すば)らしいごちそうを運(はこ)んできます。
 ふんわりと気持(きも)ちのよい音楽(おんがく)が流(なが)れて、タイやヒラメやクラゲたちの、それは見事(みごと)な踊(おど)りが続(つづ)きます。
 ここはまるで、天国(てんごく)のようです。
 そして、
「もう一日、いてください。もう一日、いてください」
と、乙姫さまに言われるまま竜宮で過(す)ごすうちに、三年の月日(つきひ)がたってしまいました。
 ある時、浦島さんは、はっと思い出しました。
(家族(かぞく)や友(とも)だちは、どうしているだろう?)
 そこで浦島さんは、乙姫(おとひめ)さまに言いました。
「乙姫(おとひめ)さま、今(いま)までありがとうございます。ですが、もうそろそろ家(いえ)へ帰(かえ)らせていただきます」
「帰られるのですか? よろしければ、このままここで暮(くら)しては」
「いいえ、わたしの帰りを待(ま)つ者(もの)もおりますので」
 すると乙姫さまは、さびしそうに言いました。
「・・・そうですか。それはおなごりおしいです。では、おみやげに玉手箱(たまてばこ)を差(さ)し上(あ)げましょう」
「玉手箱?」
「はい。この中には、浦島さんが竜宮で過(す)ごされた『時(とき)』が入(はい)っております。
 これを開(ひら)けずに持(も)っている限(かぎ)り、浦島さんは年を取(と)りません。
 ずーっと、今の若(わか)い姿(すがた)のままでいられます。
 ですが、一度開(いちどひら)けてしまうと、今(いま)までの『時』が戻(もど)ってしまいますので、決(けっ)して開(ひら)けてはなりませんよ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
 乙姫さまと別(わか)れた浦島さんは、またカメに送(おく)られて地上(ちじょう)へ帰りました。
 地上(ちじょう)にもどった浦島さんは、まわりを見回(みまわ)してびっくり。
「おや? わずか三年で、ずいぶんと様子(ようす)が変(か)わったな」
 たしかにここは、浦島さんが釣(つ)りをしていた場所(ばしょ)ですが、何だか様子(ようす)が違(ちが)います。
 浦島さんの家(いえ)は、どこにも見あたりませんし、出会(であ)う人(ひと)も知(し)らない人(ひと)ばかりです。
「わたしの家(いえ)は、どうなったのだろう? みんなはどこかへ、引(ひ)っ越(こ)したのだろうか? ・・・あの、すみません。浦島の家を知りませんか?」
 浦島さんが一人の老人(ろうじん)に尋(たず)ねてみると、老人(ろうじん)は少(すこ)し首(くび)をかしげて言いました。
「浦島? ・・・ああ、たしか浦島という人なら、七百年(ななひゃくねん)ほど前に海へ出たきりで、帰らないそうですよ」
「えっ!?」
 老人(ろうじん)の話(はな)しを聞(き)いて、浦島さんはびっくり。
 竜宮の三年は、この世(よ)の七百年にあたるのでしょうか?
「家族も友だちも、みんな死んでしまったのか・・・」
 がっくりと肩(かた)を落(お)とした浦島さんは、ふと、持(も)っていた玉手箱(たまてばこ)を見(み)つめました。
「そう言えば、乙姫さまは言っていたな。この玉手箱を開(あ)けると、『時』が戻(もど)ってしまうと。・・・もしかしてこれを開けると、自分(じぶん)が暮(く)らしていた時(とき)に戻(もど)るのでは」
 そう思った浦島さんは、開けてはいけないと言われていた玉手箱を開けてしまいました。
モクモクモク・・・。
 すると中から、まっ白(しろ)のけむりが出てきました。
「おおっ、これは」
 けむりの中に、竜宮や美しい乙姫さまの姿(すがた)がうつりました。
 そして楽(たの)しかった竜宮での三年が、次(つぎ)から次(つぎ)へとうつし出されます。
「ああ、わたしは、竜宮へ戻ってきたんだ」
 浦島さんは、喜(よろこ)びました。
 でも、玉手箱から出てきたけむりは次第(しだい)に薄れていき、その場(ば)に残(のこ)ったのは、髪(かみ)の毛(け)もひげもまっ白の、ヨポヨポのおじいさんになった浦島さんだったのです。

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